スウェーデン教会ってどんな教会?(3)by Nahlbom, Y.

教会員の減少は現代のスウェーデンの宗教観や多文化共生主義にも関連しています。

スウェーデンは日本と同様に世界で最も宗教離れした国の一つだと見なされています。スウェーデン人の宗教観と日本人の宗教観は結構似ているかなと思います。日本と同様に「信仰を持っている」人の数は少ないわけですが、無神論というより無宗教&自然崇拝といった感じでしょうか。特定の神は信じていないけれど、例えば森を散策中に言葉には出来ないけれど何か神聖な「力」を感じるという具合です。

さらに、キリスト教圏以外の国々からの移民や難民の増加に伴い相対的にキリスト教徒が減っているとも言えます。近年は、過疎化の進む地域の教会建築や土地を移民&難民の増加に伴い勢いのあるイスラム教や正教会に売却というケースも目立ちます。それでもスウェーデンの全人口の56%が現在も教会員であり、一方が教会員であれば可能な結婚式、教会員でなくとも可能な洗礼や葬儀を教会で行う人はまだまだ多いですし、スウェーデン人にとってこうした人生の節目節目での教会との関りは生活の中に息衝いているとも言えます。

同時に移民&難民のキリスト教徒への改宗&入信はここ数年増えており、多国語での礼拝も増えてきています。また、通常の主日礼拝の参加者は2%未満と惨憺たるものですが、近年は平日の夕方の礼拝の参加者が増えています(と言っても5%強ですが)。クリスマスやイースター限定で教会の礼拝に参列する人は相変わらず多く、その意味では日本と同様に宗教が伝統として捉えられていると言えると思います。

スウェ教会でも洗礼はとても大きな意味を持っていますが未受洗では救済されないとか地獄に落ちるという考えはありません(そもそも地獄の存在には否定的)。按手が必要な聖職者は洗礼と堅信礼を済ませている必要がありますがその他の教会内の仕事は未受洗でも就労可能です。

スウェ教会では「匿名のキリスト者」いう考え方はかなりポピュラーです。また、エキュメニズム推進の立場から他教派&他宗教との宗教対話と協同にも積極的です。もちろん、そうした姿勢への聖職者&信者からの反発も少なからずありますがマジョリティは「万人に開かれた教会」を支持しているようです。

神の愛は分け隔てがなく、神の許しにも分け隔てがない以上、教会はすべての人に開かれている。これはスウェーデン教会の基本であり強みではないかと個人的には考えています。そしてこのような教会に出会い、遣えることが出来る喜びに感謝しています。

Nahlbom, Y. https://twitter.com/YNahlbom
2006年の4月にスウェーデンの古都ウプサラ市に移住し、2018年に博士号(神学、専門は宗教心理学)を取得、今年の9月からdiakon(助祭)になるためスウェーデン教会の教育機関で学ぶ予定です(按手は来年の6月予定)。

2 Comments

アバター ぼやき牧師

「すべての人に開かれた教会」であることや、洗礼を受けていない人でも教会で働くことができる(奉仕することができる?)ことなどと関連があると思うんですが、「匿名のキリスト者」というのは、どういう人のことあるいは概念のこと指すのでしょうか?
この言葉に興味を持ちました。これをまたいつかの機会に教えていただければありがたいです。

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アバター くま

匿名のキリスト者、ウィキペディアでは「無名のキリスト者」という翻訳になっているようですね。
提唱者のカール・ラーナー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC

私の国語理解力の問題だとは思うんですが、「匿名のキリスト者」「他教派・宗派との対話に積極的」「万人に開かれた教会」のつながりが、イマイチ腑に落ちませんでした。
「万人に開かれた教会」が「だれでも来ていいよ」という意味合いだったら、「うちの教会は万人に開かれていません」と自認する教会はないんじゃないかなあ、と思ったり。

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