ブックレビュー『「キリスト者の自由」を読む』

500年前の宗教改革者の言葉が、いま私たちを解放する。

 マルティン・ルターの『キリスト者の自由」を500年を経て今読むことによって、極めて現代的な社会の諸問題に対しても、なお生きるルターの思想を引き出そうとする好著です。
 『キリスト者の自由』に含まれるいくつかのテーマ毎に、コンパクトにまとめられた解説が、大変読みやすく、理解しやすい平易や文章になっています。そのことによって読む人は、ルターの世界を身近に感じ、今を生きる自分に活かす糸口を見出せるのではないでしょうか。
 ルターが説く自由は、現代社会でよく主張される自己実現的な自由とは違います。むしろ現代的な自由の中には、限りない自己中心性という罪が潜んでいます。ルターの自由は、神から与えられる自由であり、自分の自由をも放棄して他者の僕となることもできる自由です。
 また、現代社会には、本来の自分を社会において否定され続け、自らを受け入れることができなくなってしまっている、即ち自由を強制的に奪われてしまっている人もたくさんいます。その人々の自由を取り戻す意味でも、ルターの「自由を神に与えられる」すなわち「信仰義認」という思想は極めて重要だということも学ばされます。
 というわけで、この本、コンパクトな割には中身がしっかり詰まった豊かな本ですし、何度も読み返したくなる良い本です。また、2020年12月7日(月)から始まるイクトゥス・ラボの読書会シーズン3の課題図書でもあります。ご興味をお持ちでしたら、どうぞイクトゥス・ラボにご連絡ください。
ixthuslab@gmail.com
 というわけで、この本、ぜひオススメします。

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