月刊『信徒の友』(日本キリスト教団出版局)で2年間に渡って連載された、精神疾患当事者や支援者による投稿と、精神科医の石丸昌彦さんの応答によるやりとりを1冊の本にまとめたものです。
統合失調症、双極性障害、アルコール依存症、薬物依存症などの体験告白は、いずれもクリスチャンの当事者からのものでした。クリスチャンだから、よくあるのが「一生懸命祈りました」とか「祈りが聞かれました」的な話が多いのかなと予想していましたが、ほとんどそうではなく、皆さん祈りつつも、自助グループに参加したり、当事者研究をしたり、もちろん薬を飲んだり、認知行動療法を受けたりなど、できることに取り組んでおられるのが印象的でした。その具体的な取り組みが非常に参考になりました。
監修者の石丸昌彦先生のお返事も、キリスト者であり医師である先生の愛情と見識があふれ出る内容でした。当事者及び支援者、また教会員や牧師が、どのような対応をすればいいのか、その有益なヒントになる知識や連絡先などが紹介されていました。石丸先生が信仰と医学の両方を踏まえて、配慮深くコメントされていることが深く印象に残りました。
精神疾患の当事者は孤立しがちです。有益な情報を手に入れる手段を知らず、また探す意欲を失っている場合も少なくありません。しかも、キリスト者ならば尚更、この病を通して、神が何を私に示そうとしているのか疑問に思い、迷い、悩むのです。
この本はそんな当事者、支援者、家族に希望を与えてくれるものです。オススメします。
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